教会便り 2023年8月

シロツメグサ
花言葉:約束


カトリック島田教会

〒427⁻0041 島田市中河町344

0547-37-1906



貧と美

編集子

  博物館では、目下、名のある豪華なお茶碗の展覧会が開催されています。

  それとは対極の、巷間、「くらはんか」と呼ばれている、名もない職人さんたちが作った、どこにでもある食器があります。

  もし、天国で品物に色々な位階が設けられているとするなら、真福八端の「心の貧しいものはさいわいである。天国は彼らのものなれば」と言われていますが、「くらはんか」を眺めて、この言葉の嘘ではないことを思います。この世では、ごく平凡な下品のものですが「くらはんか」を見ると、地上での位と、天国での位とは違っていて、何か救いが誓われているのを感じます。

   「くらはんか」のような下手の品物の美しさは、それを作った人たちの貧しい生活がなかったら、決して生まれてはきません。貧しい暮らしが持つ謙虚さが、積極的に品物の美しさに働いています。作る者が自分に近い人々のために用意した品物です。だから、どんな作より彼らの生活がじかに現れていて、そこに見られる質素な美しさは貧の徳から生れたものです。

  貧乏と言う悲惨な事実を肯定するどんな思想も、人間の理想に矛盾する、貧困から人間を救うことが私たちの任務ではないかという非難を受けることでしょう。いくら雑器に美しさがあっても、もしそれが貧困の生活から生れて来るなら、そのような美しさは、人間の恥辱ではないかと、貧しさと言うことを経済的な意味で取れば、そう詰問されるでしょう。

 でも、道徳と言う見地から人間を眺めると、富はそんなにも幸福を保証するのか、心を健全にするのか、色々な道徳的欠陥を伴います。

 富者よりも貧者の方が、謙遜や正直や素朴と交わります。だから、神の意に従う生活に近づくのではないでしょうか。

貧乏が罪の原因をなす場合がありますが、それは貧乏を呪って、富貴を求めるところから来る罪ではないでしょうか。貧乏であることと罪とは何の因縁もありません。

 片田舎の貧しい暮らしをしている職人たちが作る「くらはんか」の美しさは、単なる品物ではありません。徳の交わっている品物です。物の美しさには必ずや道が潜んでいます。

 道徳家で、嘗て、富を貪った者があったでしょうか。貧者の方が、ずっと徳に交わり易い事情にあります。富者で道徳を保つのは難しい。貧者だから、素直に保てる道徳は多い。謙遜の徳は、どんなに貧者と縁が深いことでしょう。「くらはんか」のような雑器のつきない美しさの中には、範足るに足る多くのものが潜んでいます。

 信仰は、いつも貧の深さを讃えています。



書評 絵本「モザンビークからの手紙」           

吉野まゆみ著

 御前崎市の吉野まゆみさんが、アフリカ・モザンビーク市の貧困地区で2009年から教育支援に取り組むNPO法人アシャンテママの栗山さやかさん(43歳)の、現地での活動を紹介する絵本を自費出版しました。

  主人公は10歳の少年イザキ君です。日中は、水汲みや 薪拾いをしています。僅かばかりの水を、家族で分け合って、飢えをしのいでいます。

  町の治安は、とても不安定で、泥棒に侵入されたり、犯罪被害に遭うこともめずらしくありません。イザキ君は、誘われて、栗山さんが建てた教育施設に通うようになり、文字の読み書きや計算が出来るようになると、元気づけられて、将来、教師になる夢を抱くという物語です。

  手紙の中で、イザキ君は、「強盗に遭って、物を盗まれることもあったけれでも、でも、学んだことは盗まれない」と言っています。

  このイザキ君も、夢をかなえることもなく、幼くして、他界してしまいます。

  人々は、誰もが、栄養失調で、まだ幼い子供たちが、あっという間に亡くなってしまう現実があります。

  栗山さんは、貧困で苦しむ子供たち、病気で亡くなってしまう子どもたちを減らすために、やはり、教育が必要だと思っています。教育施設では、勉強と共に、子どもたちにもなるべくわかり易いように、衛生、栄養、感染症、伝染病、病気の防ぎ方、道徳心などを教えています。

 いつもおなかがペコペコの子供たちに、栄養のある食べ物をと思い、大きなお鍋に野菜が沢山入ったおかゆやお豆を煮て、授業の後は、みんなでお昼ご飯を食べます。何度もお昼ご飯を配るうちに、みんなは手を洗い、並んで順番を待つことも覚えてくれました。

  栗山さんは、その後、医療の勉強が出来るようにと、医療技術専門学校も開いています。

  今では、出身地の御前崎市では、町を挙げて支援の輪を広げてくれていますし、日本の方たちから、沢山の温かい支援が届いています



8月の暦

8月6日:主の変容・日本カトリック平和旬間・15日まで・11時

8月13日:年間19主日・11時

8月15日:聖母の被昇天(藤枝教会)・9時

8月20日:年間第20主日・徳山教会・11時・13時30分

8月27日:年間第21主日・11時

平和の祈り(ロザリオの祈り):毎週土曜日・9時30分


8月の予定

運営委員会 8月6日 ミサ後

0コメント

  • 1000 / 1000