島田教会報 5月号

藤枝・島田教会主任  金子尚志神父

「恵送り」

 「私と同じ、双子の人へ。世界中の双子が仲よくコーヒーを飲めますように」・・このような種類のメッセージカードが、あるコーヒー店のコルクボードに貼られています。これはそのコーヒー店のポイントカードです。飲み物一杯ごとにポイントがたまり、12ポイントでコーヒーが1杯飲める無料券が頂ける仕組みです。しかしこのコーヒーの無料券は自分用ではなく、誰かへのプレゼント用です。この無料券を、「双子の人」へと最初の人は指定してメッセージカードを貼りました。この話の内容は以前目に留まった「恩送り」の新聞記事です。「恩送り」とは誰かから受けた恩を、自分は別の人に送る。そしてその送られた人がさらに別の人に渡す。そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくということ。「恩送り」では、親切をしてくれた当人へ親切を返そうにも適切な方法が無い場合に第三者へと「恩」を送る。「恩」を返す相手が限定されず、比較的短い期間で善意を具体化することができるとしている。社会に愛の連鎖が起きます。ここで使われている「恩」を「恵」に置き換えてみたらどうでしょう。私たちキリスト者は良くこの「恵」という言葉を口にします。「恵」とは人間の力ではなく、神様の思いが無償でひとりの人間に及ぶ喜ばしい行為です。その神の「恵」は人間だけが受け取ることが可能です。「これは神様の恵です・・」「本当にこのことは恵でした・・」など、その言葉の中にその人の感謝の思いが伝わってきます。しかしこの受けた「恵」は誰のためなのでしょうか。自分だけが喜ぶための「恵」なのでしょうか? そうではなく、誰かを、周りを、世界を神様の愛で喜ばせるための「恵」であり、「恵送り」をするためです。あなたが出会った神さまの「恵」が、あなたを通して他者の「恵」となる。

 とりわけ「秘跡」を受けることは私が幸せになると同時に誰かを幸せにするための「秘跡」です。あらゆる秘跡の源泉はイエス・キリストであり「原秘跡」と呼ばれます。まさにイエス様は言います、「これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたの内にあり、あなたがたの喜びが満たされるためである」(ヨハネ15.11)。

カトリック島田教会

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